
この記事では、コインランドリー経営の初期費用、売上やランニングコスト、メリット、注意点、適した立地など、はじめる前に知っておくべき全知識をまとめています。
土地活用法として近年注目を集めているのが、コインランドリー経営!
でも、本当に儲かるの…?
どれくらいの初期費用がかかって、どのくらいの売上があるのか。
気になるところですね。
コインランドリーは、2015年頃から流行が再燃し、ロードサイド店舗だけでなく、マンション・アパートの1階に設置することも増加傾向にあります。
建物の有効利用・活性化といった面からも、チェックしておきたい土地活用法のひとつ!
さらに今は、設置機器世代変化が起きていて、旧モデルで構成された既存店舗との差別化を計りやすいタイミングです。
今回はコインランドリーの気になる初期投資など、知っておくべき全知識をまとめました!
『土地活用の学校』講師:オオタニ
銀行マンから土地活用のコンサルタントへ転身。「ここでわかる、すぐに動ける、現場の活きた情報を伝えたい!」をモットーに本ブログの運営をスタート。
保有資格:土地活用プランナー・CFP・1級FP技能士
コインランドリーのトレンドをチェック!
設置機器の機能が大幅に向上中
コインランドリー業界では、近年の流行を受けて機械の世代進行が進行中です。
2015年頃から、新しい機能を持った機械の展開が活発になりました。
従来モデルは時代遅れとも言える最低限の機能しかない洗濯機、乾燥機が目立ちましたが、現在は交通系カード、ナナコといった主流の電子マネーに対応。
ユーザーは空き状況の確認や、終了のおしらせをスマホで確認できます。
また、ネットワーク通信を手に入れたことで、オーナーはPCで売り上げの状況を確認、設定金額の変更まで遠隔操作できるようになりました。
現在は丁度世代交代の最中といったタイミングなので、古い既存店舗との差別化を狙えるチャンスでもあります。
デザイン性と清潔感が近年の流行
店舗のデザイン面でも大きな流行の変化が訪れようとしています。
現在は機械を置いただけ、シンプルな店内の店舗が目立ちますが、新しく出店される店舗の多くはデザイン性を重視。
床や壁紙の選定はもちろん、設置するテーブルやーソファーにもこだわって、カフェのようなスタイルに仕上げた店舗が人気です。
こちらも比較的新しい流行で、現在は既存店との差別化が気になる方にもおすすめしやすいタイミングと言えます。
コインランドリー経営に必要な初期費用
初期投資の大部分は機械購入代金
コインランドリー経営の気になる初期投資は、中型となる15坪から20坪程度の店舗で、さらに最新機器を導入すると約2200万円~2500万円程度。
内約70%を締めるのは、機械の購入代金です。
販売店によって価格は変化しますが、新しい機能を持った最新の機械は1台150万円から200万円程度と非常に高額。
トータルの支払い金額は大きくなりますが、リース契約での設置も検討してみましょう。
設置台数は、ロードサイド店舗の場合で、洗濯乾燥機、乾燥機で計10台程度の設置がスタンダードです。
マンション・アパートの1階にテナントとして入る場合は、もう少し小規模であることが多くなります。
シンプルな機能の機械は100万円から150万円程度なので、近隣に既存店が無い場合は初期費用を下げるために機械のグレードを落とす選択も考慮に入れる事ができます。
給排水、ガスの配管も必要
機械購入代以外のコストは、洗濯機の給排水、ガスの配管工事。
店舗の状況によっては、内装の工事や椅子、テーブル等も必要になります。
設備工事で300万円、内装工事で100万円程度のイメージですが、規模や建物の状況によってはさらに投資が必要になるケースも。
初期投資を抑える中古機械
初期投資の大部分は機械購入代金、機械のグレードを下げると初期投資額のトータルも大きく抑えることができます。
海外製、中古機械であれば60万円、80万円といった価格から見つける事も可能です。
デザイン性、機能性両面で新機種からは大きく性能がダウンすることになるので、競合の可能性を考慮に入れながら検討してみてください。
コインランドリー向けの機械は非常に丈夫で、目標耐用年数の20年を大きく上回っても修理とパーツ交換で使用し続けることができます。
中古流通しにくい、中古機械の価格が下がりにくいといった特性もあり、メーカーとモデルを統一した状態で必要な台数を用意できるかどうかはタイミング次第と言えます。
コインランドリー経営の経費と売り上げ
ランニングコストのメインはガス代
コインランドリーの経費と売り上げのイメージについても確認しておきましょう。
まずは毎月必要になるランニングコストの部分をご紹介します。
メインになるのは乾燥に必要なガス代で、月々の平均は10万円から15万円程度。
使った分だけ次の月に請求が来るので、支払いが多い月は売り上げも多く、売り上げが少ない月は支払いが少なくなります。
経費の大部分を占めるランニングコストの安定感が、コインランドリー経営の大きな魅力です。
電気代、水道代
電気は店舗内の照明、エアコン、洗濯機や乾燥機のドラムを回転させるために必要です。
こちらは月々4万円から5万円程度の支払い。
水道料金は月1万円から2万円程度です。
光熱費全てを合わせると計20万円程度。
ここに保険や警備、定期的な床ワックス清掃、洗剤購入といった部分をプラスして、25万円程度が毎月必要になるランニングコストの合計になります。
機械のリースや銀行からの借入返済、清掃や電話対応の外注を行う場合は、最低限のランニングコストにプラスして検討してみてください。
銀行への返済が月10万円、外注費が5万円であれば、トータルは40万円前後になります。
スタンダードな売り上げ目標と利益イメージ
コインランドリーの売り上げは月60万円程度がアベレージ。
初年度など、認知が進んでいない状態では40万円程度、雨が多い、季節の変わり目といった特別な条件の月は100万円を超えるケースもあります。
軌道に乗った状態で売り上げ月60万円、経費が40万円。
家賃が必要な場合はここに15万円ほどプラスして、月の利益は5万円。返済が終われば15万円、外注部分を全てオーナーが行って20万円の収入になる、というのが、基本的なコインランドリーのキャッシュフローになります。
家賃が必要ない場合は、返済を行いながらでも初年度から月20万円近い収入が期待できる計算です。
年間利回りは家賃が必要な場合で8%前後と言われており、建物を建てた場合でも、家賃として計算していた部分を借入返済に充てながら十分な利回りが期待できる土地活用法と言えます。
コインランドリー経営のメリット
在庫無しの現金商売!
コインランドリー経営の魅力は、仕入れが無く売り上げが全て現金である点です。
当月売れた分から先月使った分を支払い続ける構造で、商売が始めての方でも、すぐに流れを掴む事ができます。
月単位で黒字、赤字を予測しやすく、キャッシュのパンクはほとんど心配無し。
運転資金は1店舗あたり100万円程度あれば十分です。
利用者増加が見込めるジャンル
現在の人口に対するコインランドリー利用率は、業界内で5%程度と予測されています。
コインランドリー利用率の高い欧米では20%近い数字で、国内でも認知率、利用率ともに増加傾向。
家庭向け洗濯機、乾燥機の普及率から20%とはいかないまでも、10%は現実的なラインです。
若い世代、高齢世代とも家族人数の平均は減少中、少量であれば、数日分をコインランドリーでまとめて済ませようという方の利用が増えています。
運営への時間投資はほとんど必要ナシ
コインランドリーで人の手が必要になる仕事は、日々の清掃と洗剤補給、売り上げ回収、トラブル時の電話対応がメイン。
この3つは、全て外注での対応が可能です。
故障も修理会社に電話するだけで済みますし、オーナーの仕事は契約会社とのやりとり、支払いといった経営上の仕事のみです。
外注費は月5万円程度になるので、利益を優先する場合はご自身やご家族で行ってもよいでしょう。お店が建ってしまえば、後は他の事業に時間を使っても十分運営を続けることが可能です。
コインランドリー経営のリスク
スローな採算計画
経営上のリスクについてもお話しましょう。
一番ネックになる部分は、多くの投資と同じくスローな採算計画にあります。
コインランドリーは特に客単価、月売り上げ金額が低く、爆発的に売れるヒット商品等も無し。
借入返済終了までは、ほとんど手元にお金が入ってこない月もあるでしょう。
借入を終えるのは多くの場合10年以上先で、投資を行ってから10年程度は、他の収入が必要になります。
投資後即1本で食べていけるといったタイプの事業ではないので、爆発力よりも細く長くといったタイプの投資先を検討されている方向けの事業と言えます。
競合出店のリスク
事業者の間でも話題になっているリスクです。
従来は個人事業主、零細企業規模で経営されている店舗が目立ちましたが、現在は大手資本の入った大企業の参入が活発。
最近ではファミリーマートの一体型コインランドリーがオープンしました。
利用価格面での差はつけにくい業態ですが、低い利回りをよしとした大手チェーン店出店のリスクが考えられます。
売り上げが落ちても維持できる程度、余裕のある採算計画が立てられるよう、土地とコインランドリーのマッチングをしっかり検討してみてください。
コインランドリー向けの立地について
主要道路隣接はマストではない
コインランドリー向けの立地についてです。
利用者のほとんどは近隣住民で、大きな通りから一本入ったような場所でも十分可能性あり。
通勤ついでに寄ることができる店舗を目指す必要は無く、生活の中で往復する自宅、スーパーの流れに組み込める場所であればチャンスがあります。
住宅地やスーパーが近い、中央分離帯の無い道路沿い、このような立地であれば、是非一度検討してみてください。
人口が少なければ当然売り上げも落ちますが、競合出店のリスクが低く、規模と機械のグレードを落として採算基準を満たせるケースもあります。
認知浸透には目印が必須
コインランドリーを利用する動機は、多くの場合「雨が降っていて衣類の乾燥が間に合わない」「クリーニング代のコストを下げるためにコインランドリーを利用したい」このどちらかになります。
後者は布団や毛布、カーペットがほとんどです。
どちらの場合も既にコインランドリーがある場所を知っていて、あそこにあるから行ってみようとなる場合が多く、口頭で他人に説明出来る程度の目印が必要になります。
地元で通用する「○○の近く」があるかどうか、イメージしてみましょう。
分かりやすければ分かりやすいほど、認知が浸透しやすく軌道に乗るタイミングが早くなります。
駐車場の有無と形状がポイント
雨の日の利用割合が非常に高いコインランドリー。
車での移動がメインの地域では、駐車場の有無と形状が大きなポイントになります。
店舗入り口正面、ギリギリの位置に車が止められるかどうか、駐車場が無い場合は、傘をさして来てくれるお客様がどの程度になるのか、事前にイメージしておきましょう。
駐車場から店舗までは、なるべく濡れないように歩ける動線が必要になります。
コインランドリーが持つ相乗効果
便利な地域を作るコインランドリー
コインランドリーには、コンビニのように周辺地域の利便性を高める効果があります。
賃貸物件の1階部分を利用するようなパターンでは、条件として「コインランドリー徒歩0分」を賃貸部分に付与。
コインランドリー利用者の確保もあって、双方に利益をもたらします。
アパート経営も考えているなら、空室対策、テナント利用の一環として検討してみましょう。
カフェ併設店舗が流行中
コインランドリー業界で近年流行中のカフェ併設スタイル。
洗濯乾燥を待つ時間、約1時間程度の有効利用を、こちらから提案しようという店舗が増えています。
スーパーで買い物を済ませる、子供の送り迎えをするといった方も多いですが、別のご商売をされている方も、是非相乗効果を含めて検討してみてください!