この記事を読んでわかること
  • コインパーキング経営の6つのメリットと5つのデメリット
  • コインパーキングの適した立地条件
  • コインパーキング4つの管理方式
  • コインパーキングの始め方

少し前まで、駐車場経営と言えば、駅や商店街など人の集まる所でするものだというイメージがありました。
ところが最近は、その様子が変わってきています。


駐車場には、月単位でスペースを貸す「月極」と、時間単位の「コインパーキング」がありますが、注目は、コインパーキングの方!


あなたの家の周りはどうでしょう。
住宅地の真ん中であってもコインパーキングが点在し、さらにかなり利用されているのを見たことはないですか?


今、警察による路上駐車禁止の強化によって、コインパーキングの需要が伸びています
これまで月極駐車場を経営していたけど、空いている部分だけコインパーキングに変えるケースも目立ってきました。


コインパーキング経営は数ある土地活用のなかでも、方法です。


土地活用したいけど、リスクはあまりとりたくない…。
空き地にしておくのはもったいないけど、面倒な管理はしたくない。
始めるのも、止めるのも手軽な土地活用がしたい。


そう考えている人に、コインパーキングは特にオススメ!

そこで今回は、コインパーキング経営を検討する上で必要な情報を余すことなくお伝えします。
それでは、まいりましょう!


この記事を書いたひと

ハカセ『土地活用の学校』講師:オオタニ
銀行マンから土地活用のコンサルタントへ転身。「ここでわかる、すぐに動ける、現場の活きた情報を伝えたい!」をモットーに本ブログの運営をスタート。
保有資格:土地活用プランナー・CFP・1級FP技能士

コインパーキング経営をはじめる6つのメリット

街中で見かけるあのコインパーキングは、いったいどのくらい儲かっているのか…気になるところですね。

まずは、実際のデータも使いながら、コインパーキングのメリットを紹介していきます。

コインパーキング経営には、次のような6つの大きなメリットがあります。

  1. 利回りが高い
  2. 初期費用が安い
  3. 狭小地、変形地でも始められる
  4. 賃料が下がりにくい
  5. いつでも転用できる
  6. 特別な不動産知識がいらない

それぞれ詳しく説明していきますね。

利回りが高い

アパート・マンションの場合、表面利回りは8%〜12%、実質利回りは5%程度が相場でしょう。

では、コインパーキングは?
1台1時間300円〜400円の駐車料金でどのくらい儲かるんでしょうか。

コインパーキングの利回り

下の表は、とある住宅地のコインパーキング収益表です。

コインパーキングの収益表

昨年度、このコインパーキングは、表面利回りが63%、実質利回りで24%でした。

コインパーキングは、確かに単価としては、アパート・マンションに遠く及びません。
ただ、利回りベースで見ると圧倒的にコインパーキングに軍配があがります。

利回りが20%を超えているということはつまり、初期費用にお金がかかっても、5年以内に回収できるということ。
その後は、あなたにとって純粋な「儲け」になります。

初期費用が安い

コインパーキングの初期費用は、規模にもよりますが300万円前後です。

内訳は次のようなもの。

満車空車の蛍光表示板 約15万円
料金看板 約15万円
車止めのブロック、バリカー 約10万円
電源の引き込み費用 約15万円
フラップ(5台分) 約100万円(ゲートの場合は、約40万円)
精算機 1台80万円前後
路面アスファルト 状態・広さによる



アパート・マンションを1棟建築しようと思えば、数千万円〜数億円単位のお金がかかります。

300万円といえば高額ですが、それに比べるとまだ手の出しやすい初期費用ですね。

ハカセ

自分で1からコインパーキングを始めようとすると、これだけの初期費用がかかります。ただコインパーキング経営は、「一括借り上げ」をして初期費用ゼロでスタートすることがほとんど。これについては後で詳しく説明しますね!



狭小地や変形地でも始められる

コインパーキングは車1台分のスペースさえあれば経営可能で、実際にそういったケースも多く見られます。

すでにアパート・マンションを持っていて、駐車場を設けたけど借り手がいない場合や、月極駐車場の空き部分をコインパーキングとして活用するケースもあります。

またL字型のような、建物を建てるのに難しい変形敷地でも、コインパーキングなら問題ないことが多いです。

賃料が下がりにくい

アパート・マンションの場合は、築年数の経過につれて、家賃が下落するケースがほとんど。

コインパーキングは建物がない分、老朽化によって賃料が低下する心配がないというメリットがあります。

いつでも転用できる

コインパーキングは建物がないので、簡単に他の用途に転用できます

5年以内に初期費用を回収できるケースも多いので、あとは続けるも止めるのも自由です。

土地の転用

時間貸しなので、借主との契約解除など煩わしい手続きもありません。

建築予定地の「つなぎ活用」としても、コインパーキングはオススメの方法になります。

特別な不動産知識がいらない

コインパーキングは建物ない分、他の土地活用に比べて受ける法規制が少なくなります。

経営にあたって、ある程度に知識があるにこしたことはないですが、あまり多くの不動産知識がいらないのは事実です。

コインパーキングに潜む5つのリスクとデメリット

これまではコインパーキングのメリットをあげてきましたが、続いてはリスクやデメリットの部分も見ていきましょう。

  1. 賃料が競合コインパーキングの影響を受けやすい
  2. 駐車場レイアウトが稼働率に大きく影響する
  3. 近隣からクレームが発生する可能性も
  4. 固定資産税・都市計画税が高くなる
  5. 相続税の節税効果はない

賃料が競合コインパーキングの影響を受けやすい

先ほど、コインパーキングは賃料が下がりにくいことをメリットにあげましたが、近隣のコインパーキングが値下げしてきたなら、話は別です。

ユーザーの立場だと、安い方に停めたいですよね?

コインパーキングの賃料は競合の影響を受けやすい特徴があり、細かな見直しを迫られる可能性があります。

駐車場レイアウトが稼働率に大きく影響

土地オーナーの立場からすると、駐車台数を多くして、さらに満車になるのが理想でしょう。

とはいえユーザーの立場では、1台1台のスペースは広い方が好まれます。

駐車場のレイアウト

大事なのは、あなたにとっての収益性とユーザーのニーズ、両者のバランスがとれたレイアウト。

あまり欲張ったレイアウトにすると、稼働率が大きく下がることもあります。

ハカセ

コインパーキングは「安いか」・「停めやすいか」がとにかく重要です。ユーザーにとっては、他にあまり比較するところがありませんからね。

近隣からクレームが発生する可能性も

住宅地の駐車場で「前向き駐車をお願いします」という看板を見たことはないでしょうか?

駐車場内での排気ガスやアイドリング騒音は、近隣からのクレームにつながりやすくなります。

周辺の建物環境を考慮した上で、場合によっては、隣地との境界に塀を設置するなどの対策も必要になります。

固定資産税・都市計画税が高くなる

これまで宅地としていたところをコインパーキングにする場合、固定資産税と都市計画税の「住宅用地の特例措置」が適用されなくなります

これは、宅地200㎡までは固定資産税の評価額を1/6、都市計画税の評価額を1/3で計算してくれるというもの。

税金

つまり、宅地をコインパーキングにすると固定資産税が6倍に、都市計画税が3倍になります。

相続税の節税効果はない

アパート・マンションで土地活用すれば、その土地は「人に貸してるので、自分で自由に使えない土地」と評価され、相続税の計算上、大幅に減額されます。

それに対してコインパーキングは、「いつでも止めて、自由に使える土地」です。
だから相続税の軽減効果はありません

どんな土地柄している?コインパーキングをオススメしたい立地条件

それでは続いて、コインパーキングが向いている立地条件を4つご紹介します。

  1. 人の往来が多い場所
  2. 住宅の密集地
  3. 道幅が狭く、路上駐車が難しいところ
  4. 利用者の多い施設の近隣

他の土地活用に全く適さない立地条件でも、コインパーキングなら最高に適した立地になることがあり、それが面白いところですね。

人の往来が多い場所

駅の周辺や商店街の近隣など、人の往来が多い場所であれば、当然コインパーキングの需要も高く、立地条件として適しています。

ただそのような立地であれば、商業施設やマンションも安定した収入が見込めます。

コインパーキングとの収益性を比較して、よく検討しましょう。

街中のコインパーキング

あるいは、商業施設の敷地内で、わずか車1台分の余ったスペースをコインパーキングとして活用する例もあります。

次のチェックポイントに該当するなら、検討してみてください。

  • 車1台あたり2.5m×5mのスペースがあること
  • 精算機50cm×50cmを置くスペースがあること
  • 出入口の広さに余裕があること
  • 歩行者専用道路や一般車両進入禁止などで入りにくくないか
  • 路面はアスファルトが理想

住宅の密集地

街中から離れた住宅地でもコインパーキングは十分な収益を見込めます。

それだけの需要があり、最近ではカーシェアの駐車スペースとして併用しているのもよく見かけますね。

住宅地のコインパーキング

特に徒歩1〜2分圏内にアパート・マンションがある場合、コインパーキングの立地として優れているといえます。

道幅が狭く、路上駐車が難しいところ

最近のことですが、古くからある住宅地で、110坪ほどの敷地をコインパーキングにしました。

周辺には世代交代の際に実家をアパートに建て替えたのか、新築のアパートが点在しています。

前面道路は車が向かいことさえ難しいくらいの幅しかなく、路上駐車はもちろん、停車もできない環境でした。

ただ、それが逆に幸いしました。

そのコインパーキングは、平日の昼間に連日、ほぼ満車状態。

ここ1年、当初予想稼働率の130%をキープしながら運営できています。

周辺の道路が狭い」ことが、コインパーキングにとってはプラスになることがあります。

利用者の多い施設の近隣

公園、墓地、美容院、病院など、利用者の多い施設の近隣であればコインパーキングの需要は高くなります。

人が集まる施設の近隣は、コインパーキングに適している

特に従業員用のパーキングエリアなど、長期間安定した収益が期待できます。

例えば近隣に工場がある場合です。

工場は通常、駅の近くにないため、従業員にとっては電車やバスをとりするよりもマイカー通勤のほうが断然楽になります。

時間貸しではなく、1日500円など「定額制」料金であれば利用されやすくなります。

交通の便が悪いところの方が、意外と狙い目ということもあるんです。

コインパーキング経営4つの管理方式

コインパーキング経営をはじめるにあたって、どのように運営・管理して行くかは大事なポイントです。

コインパーキングには4つの管理方式があり、それぞれの特徴をまとめるので、ここはしっかり把握しておいてください。

  1. 一括借上方式
  2. コミッション方式
  3. 管理委託方式
  4. 個人運営方式

ほとんどのケースで一括借上方式がとられますが、それぞれの違いは知っておきましょう。

一括借り上げ方式

一括借り上げ方式とは、駐車場運営会社に土地を定額で貸し出す方式で、次のような特徴があります。

  • コインパーキング開業準備は、すべて駐車場運営会社がしてくれるので、初期費用不要
  • コインパーキングの経営状態によらず、毎月一定の収入が保証されている
  • 賃料設定からクレーム処理まで、管理はすべて駐車場運営会社任せ

このような特徴から、最もリスクの低い管理方式といえます。

コインパーキングの一括借り上げ方式

ただ、次のような注意するべき点もあります。

  • 開業時の既存建物解体費用アスファルト舗装費は土地オーナー負担
  • 毎月の保証額は駐車場運営会社によって差が出やすい
  • 毎月の保証額は定期的に見直される(保証額が下がることもある)

コインパーキングを始めようとすると、ほとんどのケースで、この一括借り上げ方式を勧められるでしょう。

その際、毎月の保証額を提示されるわけですが、この額は駐車場運営会社によって差が出やすくなります。

各社の運営スタイルによるもので、ホームページやカーナビで宣伝をすれば新規ユーザーを呼び込みやすくなりますし、キャッシュレス決済の精算機を設置すれば、法人ユーザーがリピーターになってくれることが多いです。

またブランドの強みを活かせることもあるでしょう。

ハカセ

駐車場運営会社としては、「三井のリパーク」や「タイムズ」などが有名ですね!

なんにしろ、複数の駐車場運営会社にプランを提示してもらい、保証額がいくらになるか比較すべきです。

そして、その保証額がいつまで続くのかも確認しておきましょう。

コミッション方式

一括借り上げ方式が一定「額」を保証するのに対し、コミッション方式は一定「率」を保証する方式です。

管理委託方式

土地オーナーが、機械設置などすべての開業準備をし、その後の運営を専門会社に委託する方式

コインパーキングの利用者が多ければ、最も収益性の高い方式です。

立地さえよければ大きなリターンが期待できますが、稼働率が悪ければ収支マイナスもあり得ます。

保証がない分、前2つに比べるとリスクの高い管理方式になります。

個人運営方式

土地オーナー自らが、開業準備も運営もする方式で、機械のメンテナンスのみメーカーに外注します。

コストが抑えられる分リターンは高いですが、クレーム処理なども自らする必要があります。

駐車場は24時間・365日稼働していることが多いので、いつでも不慮の事態に対応できる人でなければオススメできません。

放置自動車の対応

コインパーキングでは、廃車目的で車を放置するトラブルがあります。

前に紹介した4つの管理方式で対応が異なるので、把握しておいたほうがいいでしょう。

コインパーキング内での放置自動

一括借り上げ方式管理委託方式の場合は、放置自動車のレッカー移動代金や処分費用は、運営会社が負担することが多いです。

コミッション方式の場合、費用の負担はまちまち。
契約によって運営会社が負担することもあれば、土地オーナーが負担することもあります。

個人運営方式の場合は、もちろん自己負担です。

コインパーキング開始後に必要なランニングコスト

4つの管理方式でランニングコストは大きく変わってきます。

一括借り上げ方式コミッション方式であれば、ランニングコストがひかれた状態で運営会社から保証額が支払われます。

だから別途支払う必要がありません。

コインパーキングのランニングコスト

管理委託方式個人運営方式のランニングコストは、どこまでを管理会社に委託するかによります。

精算機の紙づまりや機械故障への対応といった機械のメンテナンス業務だけであれば、1台につき3,000円/月くらいの費用でしょう。

さらに、駐車場内の清掃業務や売上金の回収業務もう管理会社に委託するのであれば、上乗せして10,000円/月程度の費用がかかります。

また動産保険、設備賠償保険、輸送保険など保険の加入も検討しなければいけません。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、駐車場の…特にコインパーキング経営について、はじめる前に知っておいた方が良いことを網羅しました。

  • 車1〜2台分のスペースが空いてるけど、活用できないかな?
  • 相続した先祖代々の土地を売るのはしのびない…けど、税金ばかり払うのは嫌。
  • 墓地が目の前で、アパート建築はできなかったけど、駐車場ならいけるかも!



コインパーキングは汎用性の高い土地活用方法なので、いろんな経緯があってはじめる人がいます。

では、あなたの土地では、コインパーキング経営でどのくらい儲かりそうのか?

まずは、一括資料請求サービスを使って、複数の駐車場運営会社のプランを比較するところからはじめましょう。

あなたが、「コインパーキング経営をして良かった」と言えることを祈っています!