この記事を読んでわかること

地域貢献にもなる土地活用として注目されるのが、あなたの土地にクリニックを建てて、それを医師に賃貸する方法。
ここでは、この方法をおすすめする3つの理由と、適した立地条件を紹介しています。

ただのお金儲けではなく、地域貢献になるような土地活用がしたい。

子供や孫に、誇れるような財産を遺してあげたい。

「土地活用」というと、次に出てくる言葉は「利回り」や「節税」。

もちろんそれも大切なことですが、地域の地主として近隣の人たちに貢献できるような土地活用ができれば、単に利回りを追求する土地活用より、よほどやりがいを感じるものかもしれません。

そんな「地域貢献になるような土地活用がしたい」という人から、注目されている方法があります。
それが、あなたがクリニックを建築して、それを医師に賃貸するというもの。

積水ハウスの建築事例参照例:積水ハウスのクリニック建築事例

クリニックは、近隣で暮らす人たちの利便性を高めます。
そして利便性の高い地域は、人気があって人が集まりやすくなります。

つまり、あなたが地域活性化の一翼を担うということですね。

というわけで、こんにちは。
『土地活用の学校』講師のオオタニです。

ハカセ

最近では、相続した実家の敷地をクリニックに活用した事例がありました。
クリニックは、70坪程度の敷地面積があれば建築可能なので、アパートなどを建てるには狭い土地でも有効活用できるのが良いですね。

クリニック建築の土地活用をおすすめする理由は3つあります。

クリニックをおすすめする3つの理由
  1. 「クリニックを借りたい」という医師の高いニーズがあるから
  2. 空室リスクが少なく、長期安定的な収益が見込めるから
  3. クリニック建築が地域貢献になるから

土地活用の代表格はアパート・マンション・駐車場などですが、あなたの土地の立地条件によっては、クリニックの方が合っているかもしれません。

この記事を読めば、クリニック建築がなぜおすすめなのか、どのような立地がクリニック建築に適しているのかがわかります。
一緒に確認していきましょう!

この記事を書いたひと

ハカセ『土地活用の学校』講師:オオタニ
銀行マンから土地活用のコンサルタントへ転身。「ここでわかる、すぐに動ける、現場の活きた情報を伝えたい!」をモットーに本ブログの運営をスタート。
保有資格:土地活用プランナー・CFP・1級FP技能士

地代よりも高収益なクリニック建築の仕組み

クリニック建築の土地活用は次の3つのパターンに分けられます。

クリニック建築の土地活用3パターン
  1. あなたが土地を売却して、医師がクリニックを建てる
  2. あなたが土地を賃貸して、医師がクリニックを建てる
  3. あなたがクリニックを建てて、医師に土地とクリニックを賃貸する

今回、紹介するのは3つ目のパターン。

それぞれ土地とクリニックにどんな権利がついているか注目してみましょう。

 

1.あなたが土地を売却して、医師がクリニックを建てる

土地を売却して医師がクリニックを建てる

土地 クリニック
医師 所有権 所有権
あなた

 

2.あなたが土地を賃貸して、医師がクリニックを建てる

土地を貸して医師がクリニックを建てる

土地 クリニック
医師 借地権 所有権
あなた 所有権

 

3.あなたがクリニックを建てて、医師に土地とクリニックを賃貸する

クリニックを建てて医師に賃貸する

土地 クリニック
医師 借地権 借家権
あなた 所有権 所有権

 

今回紹介するクリニック建築の土地活用は、あなたの土地に、あなた自身がクリニックを建てます。
そのため、土地もクリニックも所有権はあなたのもの。

土地を貸したときの地代よりも、収益性が高い土地活用法になります。

ハカセ

クリニックの賃料は、「坪あたりの賃料×建物の坪数」で計算することが多いです。
相場は地域によって様々。1坪=5,000円のところもあれば、1坪=20,000円のところもあります。


ただ、これだけを聞くと「医師しか借り手がいないのに、空室リスクが高いのでは?」と、不安に思うかもしれませんね?
でも、その心配はいりません。

クリニック建築前から、借主となる医師が決まっている

クリニックを一棟建てるには相当の費用が必要になります(通常は銀行等で借入をする)。

それで借り手がいなければ、クリニックを別の目的で流用することはできないでしょう。

ただこの方法は、賃貸契約をする医師が決まってから着工するのが通常で、どんなクリニックにするか医師と話し合いながら計画を進めていきます。

クリニックの賃貸契約

 

逆に、建てる前から借主が決まっているので、建てた直後の空室リスクがありません

あとは、あなたの事業パートナーとも言える医師を見つけるだけ。

ではどうやって医師を見つけるかですが、クリニックを借りたい医師の情報は、実はハウスメーカーが持っています。

クリニックを借りたい医師の情報はハウスメーカーが持っている

クリニックの賃貸は、医師からのニーズが大変高く、以下のように、各ハウスメーカーも「開業したい医師」と「土地活用したい地主」との引き合わせを行っています。

次の画像は、ミサワホームの相談フォームですが、「オーダーリース(土地建物共に賃貸)」にチェックした医師が、まさにクリニック賃貸の希望者ということです。

ミサワホームミサワホーム掲載元:ミサワホームHP

各ハウスメーカーのホームページ上には、このような開業したい医師のための相談フォームがあります。

だから、クリニック建築の土地活用を始めるなら、まずハウスメーカーを利用することが近道になります。

クリニック建築の土地活用をおすすめする3つの理由

それでは、クリニック建築の土地活用をおすすめする理由をです。
冒頭でも伝えたとおり、次の3つがあります。

クリニックをおすすめする3つの理由
  1. 「クリニックを借りたい」という医師の高いニーズがあるから
  2. 空室リスクが少なく、長期安定的な収益が見込めるから
  3. クリニック建築が、地域貢献になるから

それぞれ、詳しくみてみましょう。

「クリニックを借りたい」という医師の高いニーズがあるから

クリニック建築をおすすめする1つめの理由は、「クリニックを借りたい」という医師は意外なほど多く、ニーズが高い分野だからです。

病院勤めの勤務医、自己でクリニックを開業した開業医。
両者の収入の差は大きく、開業医の年収は勤務医の1.8倍とも言われています。

勤務医の開業志望

勤務医は過密労働に加え、大都市圏の病院に医師が集中する「地域偏在」が顕在化していて、勤務医の病院内でのポストが不足していることも問題となっています。

そんな勤務医のなかには、地域に根差し、自己の診療方針でクリニックを運営していきたいと願う人も多くいます。

ただ、そこで足かせとなっているのが開業資金の問題

クリニックひとつ開業するには、以下のような様々な初期費用が必要になります。

 

医療機器費 X線撮影装置、内視鏡、内視鏡洗浄機、心電計、超音波診断装置など
什器費 電子カルテ、コピー複合機、待合ソファー、診察用ベッド、診察机や椅子、電話、レジスターなど
その他 広告宣伝費、経営が安定するまでの運転資金など

 

医療機器や什器は通常リースを利用しますが、開業当初、集客が安定するまでの広告費や当面の運転資金だけでも2000万円前後を見越して用意しなければいけません。

親も開業医で、経営地盤をクリニックごと引き継げる人なら問題ないでしょう。
でも、もちろんそんな人たちは少数。

ほとんどの医師が、引き継げる経営地盤もクリニックもありません。

そんな医師にとって、自分の希望に沿ったクリニックを建築してくれるあなたの存在は、なによりもありがたいものになります。

 空室リスクが少なく、長期安定した収益が見込めるから

クリニックを賃貸する土地活用をおすすめする2つめの理由は、空室リスクが少なく、長期安定した収益が見込めるからです。

クリニックを賃貸して長期的な収益

それはなぜか?もっと具体的にみてみましょう。

医師との貸借契約期間が長い

クリニックを建てた後、医師と建物の貸借契約をすることになりますが、この際の契約期間は10年~20年といった長期契約が見込めます。

契約期間満了後の更新もありえますし、場合によっては将来、医師への売却を検討しても良いかもしれません。

収益が駅からの距離に左右されにくい

賃貸住宅の賃料相場は、利便性に大きく左右されるので、駅から離れる距離に応じて家賃相場が下がる傾向にあります。

それに対してクリニックを賃貸する場合、駅からの距離よりも、車での来院のしやすさが優先されることが多く、収益が駅からの距離に左右されにくい特徴があります。

郊外であっても高い収益をあげられる可能性があるのは、土地活用において大きなメリットです。

賃料は「坪あたりの賃料×建物の坪数」で計算されることが多く、地域によって1坪=5,000円だったり、1坪1=20,000円であったりと差があります。

建物ができてからの空室期間がない

すでにお伝えしましたが、今回の方法では、診療所を建てる前に借主である医師が決まっているため、建築後の空室リスクがありません

不動産経営をするうえで、少しのタイムラグもなく当初収益が確定しているのは、検討に値するポイントですね。

クリニック建築が地域貢献になるから

クリニック建築の土地活用ををおすすめする3つめの理由が、冒頭でお伝えしたとおり、それが地域貢献になるからです。

クリニックは近隣に住む人たちの利便性を高めます。

土地活用で地域貢献ができる

新築マンションの販促ホームページなど見ると、ロケーションの紹介では必ずといって良いほど、近隣に医療施設があることがアピールされています。

近くに医療施設がある」ことが、そこに暮らす人にとっての安心につながり、それが地域の価値を高めることにもなります。

子供から高齢者まで、世代を問わず求められる施設というのは、そうありません。

ハカセ

相続のことを考えても、地域に貢献しているクリニックを子供や孫に遺すとなると、なんとも誇らしく感じますね!

クリニック建築に向いている立地5つのポイント

このように医師からのニーズが高く、長期安定的な収益が見込めるクリニック建築ですが、立地によって向き、不向きがあります。

クリニック建築が適した立地

では、どんな立地が向いているか、次の5つのポイントをみてみましょう。

視認性のある土地

視認性が重要なのは、店舗もクリニックも変わりません。
近隣住人の目に触れやすい環境ほど、認知度が上がっていきます。

例えば、あなたの土地が角地であったり、人通りの多い道に面していると、クリニックを建てるのに大きなプラス要素となります。

近隣に公共施設やスーパーなどがある

近隣に人の集まる施設があると、クリニックを建てる上では好立地。

例えば、バス停の目のまえにクリニックがあれば、多くの人の目に触れますし、バス利用者の来院も見込みやすくなります。

スーパーの近くなら「病院に行ったあとで、スーパーで買い物をして帰ろう」と、来院が行動計画のなかに組み入れられやすくもなります。

住宅・人口の多い地域

そのクリニックに来院するであろう患者の分布を「診療圏」と言い、患者の8割は半径3km以内の場所に来院すると言われています。

アパートやマンションが多いなど、人口が密集している地域ほど、クリニックを建てるのに適した立地と言えます。

前面道路が広い

クリニックには車での来院が多くなるため、必ずしも駅に近い必要がありません。

それは同時に、車で出入りしやすい立地であることがポイントになるということです。

駐車場があったとしても、狭い路地を通らなければいけなかったり、中央分離帯に阻まれてUターンしなければ到着できないような立地だと、クリニックを建てる上ではマイナスになります。

土地面積は70坪程度から

クリニックの賃貸で必要な面積は、70坪程度から

集合住宅を建てるには狭い土地でも、クリニックであれば活かせる可能性が十分あります。

例えば、相続した実家が空き家になりそうなら、クリニックとして活かすことも検討してみてください。

クリニックが経営不振となれば、賃貸契約の中途解約というリスクも

クリニック建築の土地活用には、注意すべき点もあります。

それは、賃貸契約が中途解約される可能性もあるということ。

クリニックを建てたあと、医師とは10〜20年といった長期の賃貸契約を結びますが、その後の経営が不振となれば、賃貸契約を継続することができません。

たとえ、前にあげたクリニック賃貸に向く立地条件をすべて満たしていたとしても、近隣に競合クリニックが多い立地では、経営不振のリスクが高くなります

地主というあなたの立場になってみれば、内科・歯科・眼科と賃貸契約をする医師は自由に選ぶことができます。
近隣に競合の少ない医療分野を選ぶべきでしょう。

また、いざというときの為に中途解約時の違約金の取り決めもしておくことも重要になってきます。

賃貸契約の中途解約

何にせよ、中途解約のリスクを軽減するためには、診療圏内の人口動態から患者数を推定し、綿密な事業収支計画をたてる必要があります。

難しそうに感じますが、そんなことはありません。
クリニック建築が上手くいくかどうかの事前調査は、ハウスメーカーなどに依頼すれば費用をかけることなくできてしまうからです。

クリニック建築の事前調査は、ハウスメーカーの情報力を活用する

クリニック建築に適した立地条件はすでに紹介しましたが、それさえ満たせば上手くいくというものでもありません。

実際には詳細な事前調査をプロに依頼し、その立地から推定される患者数や診療報酬を算出、そして長期的な事業収支計画をたてることで、クリニック建築が上手くいくかどうかを判断します。

ただ、それらはあなたがするわけではなく、ハウスメーカーに請求すれば、調査会社を使って調査してくれます。

クリニック建築の事前調査

また、ハウスメーカーは「クリニックを借りたい」医師の情報を共有していません。
各社が個別に集めているので、できるだけ多くのハウスメーカーに声をかけ、幅広い医療分野の医師と会えるようにすると良いです。

医療分野の例

内科・胃腸科・人工透析・泌尿器科・小児科・心療内科・外科・整形外科・歯科・眼科・耳鼻咽喉科・乳腺外科・皮膚科・整骨院・鍼灸・動物病院

同じ医療分野のクリニックが近隣にあった場合、患者は通いなれた方を選ぶため、新規参入する方が不利になります。
医師の情報が多ければ、医療分野の選択の幅が広がり、クリニックの競合を避けることができますね。

 

とはいえ、ひとつひとつハウスメーカーの事業所をあたっていくのは大変な労力です。
(※住宅展示場には一戸建て専門の担当者しかいないので、行っても意味がありません)

そのため、まずは複数のハウスメーカーに、土地活用の調査を一括して依頼できるサービスを利用すると良いでしょう。

一番利用しやすいのはタウンライフというサービスです。

土地活用の調査を一括して依頼できるサービスは多くありますが、ここだけが唯一、「医療施設」の活用方法を選択でき、クリニック建築を扱っているハウスメーカーを一覧表示させることができます。

土地活用の一括資料請求サイト掲載元:タウンライフHP

これまで累計112万人が利用した実績のあるサービスで、利用も無料です。

登録すれば調査結果を送ってくれるので、あなたの土地がクリニック建築に適した立地がどうか。
そこで開業を希望する医師の情報があるかを確認しましょう。

土地活用で地域貢献がしたいあなたへ

いかがだったでしょうか?

今回ご紹介したのは、あなたが自分の土地にクリニックを建てて、それを医師に賃貸する土地活用法でした。

あなたの土地活用が地域貢献にもなる、素敵なことだと思います。

そのためにはぜひ一度、自分がクリニックのオーナーになると考えて、今までとは違う視点で近隣を見てみてください。

 

  • 近くに内科はあるけど、踏切の向こうだから不便だな
  • この辺は犬の散歩をしている人が多いのに、一番近い動物病院まで車で20分かかるな
  • ここはバス停が近いから、クリニックを建てると高齢者の人は楽に通院できるかも

 

そんな小さな発見が、今後あなたの大きな地域貢献につながるかもしれません。

この記事が、あなたの土地活用の参考になれば幸いです。